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5つの香りに込めたメッセージ
植物の進化論をモチーフにデザインされた、5つの香り。
D.W.M.のフレグランス設計を担当する和泉侃さんは、香りを含めたプロダクト全体を「論理的に捉えるよりも、もっと感覚的に感じてほしい」と話します。
香りは、D.W.M.のスキンケアを体験するトリガーになると考える和泉さんに、5つのフレグランスに込めた想いを、淡路島のアトリエで伺いました。
- 入った瞬間から、内なる何かの声が聞こえるような、不思議な空気を感じるアトリエですね。
土壁が理由かもしれません。普通の土壁は藁を入れますが、このアトリエでは蒸留をした際に出る植物の搾りかすを練り込んでいるんですよ。
このアトリエ「胚」のコンセプトは、夜明け前のクリエイション。胚芽の胚から着想を得て、自分のクリエイションの過程を植物が芽を出す前に細胞分裂を繰り返す過程になぞらえています。
- この場所から生まれたD.W.M.プロダクトの香りは、5アイテム全て異なる仕上がりで構成されています。多くのコスメが「1つのシリーズは1つの香り」でブランドを表現する中で、今回「1つのシリーズで5つの香り」をデザインするに至った背景は?
香りを嗅ぐと特定の記憶や感情を思い出すことがあるように、シリーズ全体を1つの香りで揃えているブランドは「この香りを嗅いだらこのブランドなんだ」とインプットしてもらう設計だと思うんですよ。
一方で、D.W.M.の場合はそこから先にもう一歩入ったというか。ブランドイメージの表現を超えて、香りで自分たちのフィロソフィーをコスメの中に体現する設計をしています。
このアトリエもデザインしてくれた、クリエイティブディレクターの柳原照弘さん(TERUHIRO YANAGIHARA STUDIO)から、最初にD.W.M.のコンセプトである「変化を伴う由来(Descent with Modification)」*のキーワードを聞いたとき、実は合成香料を使わずに植物のものだけで表現してほしい、とリクエストもあったんです。
5種類のプロダクト全ての香りに植物を使うのであれば、植物の進化論を5つの香りで表現するのが一番コンセプトに親和性があって自然だと考えました。
- 植物の進化論を香りで表現するにあたり、今回、スタンダードな調香ではない、面白いチャレンジをされたそうですね。
公式サイトにも紹介があると思いますが、植物の進化は最初藻から始まって、それがシダや苔類になっていきます。例えば苔は、アーシーというか、土に近いような深い匂い。香りでいうと、とても重い香りからスタートするんですよね。
一般的に、ワインのような香りのテイスティングでは「軽いものから」順に香っていきますが、今回は真逆の流れをデザインしているところが面白いと思っていて。
重い香りからスタートしているからこそ、クレンジング〜フェイスウォッシュと洗ってはいくんですけど、少しずつ匂いが残っていくんですよ。
インパクトがあって、感じやすい香りからケアが始まるので、藻や苔類の匂いがD.W.M.の世界観に入り込むトリガーになればいいなと思っています。
Scent Design & Direction / 和泉侃 (Kan Izumi)
香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動する表現者。
お香の制作をきっかけに2017年より淡路島に拠点を移し、植物の生産・蒸留や原料の研究を行いながら創作活動に励む。
作家活動と並行し、2021年には自身の活動に共感するメンバーとIK STUDIOを発足。空間やプロダクトにおける香りのデザイン・ディレクションを行い、香りで表現される世界の可能性を広げている。
https://izumikan.jp/
D.W.M.のフレグランス設計を担当する和泉侃さんは、香りを含めたプロダクト全体を「論理的に捉えるよりも、もっと感覚的に感じてほしい」と話します。
香りは、D.W.M.のスキンケアを体験するトリガーになると考える和泉さんに、5つのフレグランスに込めた想いを、淡路島のアトリエで伺いました。
- 入った瞬間から、内なる何かの声が聞こえるような、不思議な空気を感じるアトリエですね。
土壁が理由かもしれません。普通の土壁は藁を入れますが、このアトリエでは蒸留をした際に出る植物の搾りかすを練り込んでいるんですよ。
このアトリエ「胚」のコンセプトは、夜明け前のクリエイション。胚芽の胚から着想を得て、自分のクリエイションの過程を植物が芽を出す前に細胞分裂を繰り返す過程になぞらえています。
レンガも淡路島の陶芸家さんが、淡路島の素材で制作
- この場所から生まれたD.W.M.プロダクトの香りは、5アイテム全て異なる仕上がりで構成されています。多くのコスメが「1つのシリーズは1つの香り」でブランドを表現する中で、今回「1つのシリーズで5つの香り」をデザインするに至った背景は?
香りを嗅ぐと特定の記憶や感情を思い出すことがあるように、シリーズ全体を1つの香りで揃えているブランドは「この香りを嗅いだらこのブランドなんだ」とインプットしてもらう設計だと思うんですよ。
一方で、D.W.M.の場合はそこから先にもう一歩入ったというか。ブランドイメージの表現を超えて、香りで自分たちのフィロソフィーをコスメの中に体現する設計をしています。
和泉さんのアトリエも、柳原さんがデザインしている
このアトリエもデザインしてくれた、クリエイティブディレクターの柳原照弘さん(TERUHIRO YANAGIHARA STUDIO)から、最初にD.W.M.のコンセプトである「変化を伴う由来(Descent with Modification)」*のキーワードを聞いたとき、実は合成香料を使わずに植物のものだけで表現してほしい、とリクエストもあったんです。
*ダーウィンの著書「種の起源」で進化について述べられている言葉
5種類のプロダクト全ての香りに植物を使うのであれば、植物の進化論を5つの香りで表現するのが一番コンセプトに親和性があって自然だと考えました。
5つの香りで、1つのコンセプト(植物の進化論)を表現
- 植物の進化論を香りで表現するにあたり、今回、スタンダードな調香ではない、面白いチャレンジをされたそうですね。
公式サイトにも紹介があると思いますが、植物の進化は最初藻から始まって、それがシダや苔類になっていきます。例えば苔は、アーシーというか、土に近いような深い匂い。香りでいうと、とても重い香りからスタートするんですよね。
一般的に、ワインのような香りのテイスティングでは「軽いものから」順に香っていきますが、今回は真逆の流れをデザインしているところが面白いと思っていて。
重い香りからスタートしているからこそ、クレンジング〜フェイスウォッシュと洗ってはいくんですけど、少しずつ匂いが残っていくんですよ。
インパクトがあって、感じやすい香りからケアが始まるので、藻や苔類の匂いがD.W.M.の世界観に入り込むトリガーになればいいなと思っています。
Scent Design & Direction / 和泉侃 (Kan Izumi)
香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動する表現者。
お香の制作をきっかけに2017年より淡路島に拠点を移し、植物の生産・蒸留や原料の研究を行いながら創作活動に励む。
作家活動と並行し、2021年には自身の活動に共感するメンバーとIK STUDIOを発足。空間やプロダクトにおける香りのデザイン・ディレクションを行い、香りで表現される世界の可能性を広げている。
https://izumikan.jp/
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