story
自分の可能性を広げてくれる、香りの世界
前編に続き、和泉侃さんがD.W.Mの香りに込めたメッセージを語るインタビュー後編。
本記事では、和泉さんが5つの香りを通してアプローチしたい「本来その人がもつ身体感覚が蘇る」体験に迫ります。話によると、毎日匂いを吸い込むときに、一つ意識してほしいことがあるようです。
- 実際に使ってみると、クレンジング・フェイスウォッシュの2本と、エマルジョン・トナー・エッセンスの3本では、香りの印象を意図的に変えているように感じました。
植物の進化論をたどりながら「洗い流す」2本から「塗り重ねる」3本にスイッチするタイミングで、明と暗のコントラストが出るように香りを合わせているんです。
藻は海の中で、苔やシダも低い水辺のイメージがあるんですけど、エマルジョン以降は太陽に向かっていくような、未来に向けて気持ちよく進化していく意味を込めて「塗り重ねる」3本には、明るい香りをデザインしました。
エマルジョンは花。藻や苔類・シダのある暗い水辺を抜けた瞬間、パッと急に光が差すイメージで、次に出てくるトナーは巨大な森林のイメージ。エッセンスは最新の植物で“実り”をイメージさせるイネ。
特にエマルジョンは2回使うので、どんどん明るくエレガントになっていく香りとともに、使っていて気持ちのいい、使い続けたい自分の気持ちにアプローチする香りをつくりました。
5つの香りを吸い込みながら「これは花をイメージした匂いなんだ」など、いい意味で考えすぎず、リラックスした右脳で感覚的に感じてもらいたいです。
- 花や森林のイメージから、色、風に揺れる音、時間によって変わる匂いや映像を想像するのも、面白そうです。
本当に、そうだと思います。僕が香りを作るときも同じです。2パターンあって、音から香りになる時もあるし、香りから音を考えていく場合もありますけど、僕にとって香り作りは音楽や景色を作っていくようなイメージですね。
リアルに絵の具で描いていくように、香りの色も意識します。この香りはこの色だから、AとBの香りを合わせて、この色ぐらいにしようとか。もう少し色を変えたいなと思って変える場合もありますし、少し賑やかすぎるから静かにしようとか。
- 香りをきっかけに、視覚や聴覚、想像力まで刺激されて豊かになっていく。自分の可能性を広げてくれる、香りの世界にワクワクします。
嗅覚は人間の本能的なものでもあるし、生存のために五感の中ですごく必要な情報ではあるのに、文明の進化とともに人間の身体感覚はおそらく退化していると思っていて。
でも、D.W.M.でいうとコンセプトの理解などを通して「自分から受け取りに行こう」とするスタンスで毎日香りを嗅いでいるうちに、世の中が便利になりすぎて鈍くなった自分の感覚や心の動き、抽象度の高い”何か”に対するアンテナのようなものを含めた人間本来の感覚を取り戻していくような体験が、やってくると思うんです。
自分の中でワッと感覚が鮮やかに蘇る瞬間、僕は「自分は生きてる、呼吸してるな」と当たり前のことに気付いて毎回ドキッとします。
香りだけではわからないこと、感覚的でわかりにくいものを、僕が翻訳して橋渡しすることで、感じ方が変わったり豊かになったりする人が周りに増えていけば、より嬉しいです。
Scent Design & Direction / 和泉侃 (Kan Izumi)
香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動する表現者。
お香の制作をきっかけに2017年より淡路島に拠点を移し、植物の生産・蒸留や原料の研究を行いながら創作活動に励む。
作家活動と並行し、2021年には自身の活動に共感するメンバーとIK STUDIOを発足。空間やプロダクトにおける香りのデザイン・ディレクションを行い、香りで表現される世界の可能性を広げている。
https://izumikan.jp/
本記事では、和泉さんが5つの香りを通してアプローチしたい「本来その人がもつ身体感覚が蘇る」体験に迫ります。話によると、毎日匂いを吸い込むときに、一つ意識してほしいことがあるようです。
- 実際に使ってみると、クレンジング・フェイスウォッシュの2本と、エマルジョン・トナー・エッセンスの3本では、香りの印象を意図的に変えているように感じました。
植物の進化論をたどりながら「洗い流す」2本から「塗り重ねる」3本にスイッチするタイミングで、明と暗のコントラストが出るように香りを合わせているんです。
藻は海の中で、苔やシダも低い水辺のイメージがあるんですけど、エマルジョン以降は太陽に向かっていくような、未来に向けて気持ちよく進化していく意味を込めて「塗り重ねる」3本には、明るい香りをデザインしました。
エマルジョンは花。藻や苔類・シダのある暗い水辺を抜けた瞬間、パッと急に光が差すイメージで、次に出てくるトナーは巨大な森林のイメージ。エッセンスは最新の植物で“実り”をイメージさせるイネ。
特にエマルジョンは2回使うので、どんどん明るくエレガントになっていく香りとともに、使っていて気持ちのいい、使い続けたい自分の気持ちにアプローチする香りをつくりました。
エッセンスは自分を彩る体験が美しければ、よりキレイになると考える人に
5つの香りを吸い込みながら「これは花をイメージした匂いなんだ」など、いい意味で考えすぎず、リラックスした右脳で感覚的に感じてもらいたいです。
- 花や森林のイメージから、色、風に揺れる音、時間によって変わる匂いや映像を想像するのも、面白そうです。
本当に、そうだと思います。僕が香りを作るときも同じです。2パターンあって、音から香りになる時もあるし、香りから音を考えていく場合もありますけど、僕にとって香り作りは音楽や景色を作っていくようなイメージですね。
リアルに絵の具で描いていくように、香りの色も意識します。この香りはこの色だから、AとBの香りを合わせて、この色ぐらいにしようとか。もう少し色を変えたいなと思って変える場合もありますし、少し賑やかすぎるから静かにしようとか。
「香りですけど、香り以外のものに置き換えて、一つひとつ作っているんですよ。」
- 香りをきっかけに、視覚や聴覚、想像力まで刺激されて豊かになっていく。自分の可能性を広げてくれる、香りの世界にワクワクします。
嗅覚は人間の本能的なものでもあるし、生存のために五感の中ですごく必要な情報ではあるのに、文明の進化とともに人間の身体感覚はおそらく退化していると思っていて。
でも、D.W.M.でいうとコンセプトの理解などを通して「自分から受け取りに行こう」とするスタンスで毎日香りを嗅いでいるうちに、世の中が便利になりすぎて鈍くなった自分の感覚や心の動き、抽象度の高い”何か”に対するアンテナのようなものを含めた人間本来の感覚を取り戻していくような体験が、やってくると思うんです。
自分の中でワッと感覚が鮮やかに蘇る瞬間、僕は「自分は生きてる、呼吸してるな」と当たり前のことに気付いて毎回ドキッとします。
香りだけではわからないこと、感覚的でわかりにくいものを、僕が翻訳して橋渡しすることで、感じ方が変わったり豊かになったりする人が周りに増えていけば、より嬉しいです。
Scent Design & Direction / 和泉侃 (Kan Izumi)
香りを通して身体感覚を蘇生させることをテーマに活動する表現者。
お香の制作をきっかけに2017年より淡路島に拠点を移し、植物の生産・蒸留や原料の研究を行いながら創作活動に励む。
作家活動と並行し、2021年には自身の活動に共感するメンバーとIK STUDIOを発足。空間やプロダクトにおける香りのデザイン・ディレクションを行い、香りで表現される世界の可能性を広げている。
https://izumikan.jp/
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